女性化乳房に対する乳腺除去手術と脂肪吸引キャプチャ(写真)解説
~高須幹弥の術式の場合~
この女性化乳房の男性患者様に対し、手術を行います。
この患者の女性化乳房は真性女性化乳房です。
真性女性化乳房は、ただ単に肥満で脂肪が胸についているだけの仮性女性化乳房と異なり、乳腺が発達することによってなる女性化乳房です。
バストの膨らみを手で摘まんでみると、硬い乳腺のしこりのようなものを触れます。
これが仮性女性化乳房だと、乳腺の硬い組織は触れず、軟らかい皮下脂肪のみを触れることになります。
また、この患者様はやや太り気味ということもあり、乳腺だけではなく、皮下脂肪や乳腺周囲の脂肪組織も発達しているため、乳腺除去手術と脂肪吸引を合わせて行います。
手術は全身麻酔で行います。
全身麻酔がかかりました。
手術を始めていきます。
最初に切開線のデザインに沿って局所麻酔液を注入します。
乳腺を除去するための乳輪下縁と、脂肪吸引するためのカニューレ挿入口の部分に局所麻酔します。
切開線に血管収縮剤であるエピネフリン入りの局所麻酔液を注射しておくことにより、手術中の出血量を抑えることができます。
局所麻酔注射が終わったら、デザイン通りにメスで皮膚切開します。
皮膚切開した後は、乳腺除去する範囲と脂肪吸引する範囲にチュームセント液を注入します。
乳腺周囲と脂肪吸引すべき脂肪のある部位に満遍なくチュームセント液が浸透するように、乳腺周囲と皮下脂肪層に注入します。
チュームセント液は、薄めた局所麻酔(リドカイン)、血管収縮剤(エピネフリン)、PH緩衝液(メイロン)、生理食塩水を混合したものです。
チュームセントを用いた脂肪吸引はウェットメソッドと呼ばれ、従来のドライメソッドの脂肪吸引と比較すると、手術中の出血がほとんどなく、よりたくさんの脂肪を吸引することができます。
また、手術後の腫れや内出血も少なく、痛みも少ないというメリットがあります。
私がこの手術をする場合、全例チュームセントを用いたウェットメソッドで行っています。
チュームセント液の注入が終わり、チュームセント液がしっかりと乳腺周囲と皮下脂肪層に行き渡りました。
チュームセント液の中の血管収縮剤が効き、皮膚の表面が白くなっているのが確認できたら、脂肪吸引を始めていきます。
左手で圧力を加えながら、皮下脂肪をしっかりと吸引します。
脂肪吸引によるリダクション(減量)は、後で行う乳腺除去に比べて出血量が非常に少ないので、必要であれば可能な限り脂肪吸引でボリュームリダクションします。
デザインした範囲をしっかりと満遍なく脂肪吸引していきます。
今回の脂肪吸引のカニューレは、直径3mmのものを使用しています。
ボディ専用の脂肪吸引カニューレは、他に、4mm、5mm、6mmなどのものもありますが(顔専用の脂肪吸引カニューレは1.6mm、2.0mmのものもあります)、私に関しては、ボディの脂肪吸引はいつも最も細い3mmのものを使用しています。
細いカニューレのほうが、時間はかかりますが、より細かく丁寧に脂肪吸引をすることができ、取りむらが生じたり、皮膚の表面が凸凹することなく、スムースに吸引することができるからです。
右側の脂肪吸引が終わりました。
皮下脂肪や乳腺周囲の脂肪がなくなり、乳腺だけが取り残され、ぽっこりと浮き出ているのがわかります。
乳腺組織は硬い結合組織でできているため、脂肪吸引しても吸引除去することはできず、そこに残るからです。
残っている乳腺を手で摘まむと、コリコリ硬い結合組織であることが確認できます。
反対側も同じようにしっかりと脂肪吸引します。
両側の脂肪吸引が終わりました。
乳腺だけがぽっこりと浮き出ているのがわかります。
吸引した脂肪は、左右合わせて800ccでした。
脂肪吸引が済んだ後は、乳腺除去にとりかかります。
メスで乳輪の下縁に沿って皮膚切開します。
術後に傷跡が拘縮しないように尖刃の11番メスでジグザグに皮膚切開します。
皮膚切開終わりました。
皮膚切開した創から、乳腺を除去するために、乳腺の周囲を尖端が鈍のハサミで剥離します。
ある程度ハサミで鋭的に剥離したら、次は指で鈍的に剥離します。
多少見た目が粗っぽく感じるかもしれませんが、ハサミなどで鋭的に剥離するよりも手で鈍的に剥離するほうが手術中の出血が少なく、手術後の腫れも少なくなります。
手で乳腺の周囲を剥離しながら引き出します。
固く結合組織でくっついている部分は指でちぎれないので、ハサミで切除していきます。
乳腺を切除することができました。
脂肪が黄色い色をしているのにくらべ、乳腺は白い色で、硬い結合組織に覆われています。
両側の乳腺を切除しました。
左右にほぼ同じ大きさの乳腺が存在していました。
乳腺を切除した跡には大胸筋が見えます。
乳腺を切除した跡から出血しているところがあれば、術後に血腫にならないように、バイポーラーでしっかりと止血をします。
止血確認した後は、乳腺を切除したスペースにサクションドレーンを留置します。
脂肪吸引のカニューレの挿入口からサクションドレーンを留置しました。
サクションドレーンを留置することにより、術後の腫れや出血、血腫を予防することができます。
あとは皮膚を丁寧に縫合して終了になります。
最初に5-0PDS(溶ける吸収糸)で真皮縫合(中縫い)をしていきます。
傷跡が綺麗になるように、ひたすら細かく丁寧に真皮縫合していきます。
真皮縫合が終わったら、皮膚の表面を6-0ナイロンで細かく丁寧に縫合します。
脂肪吸引のカニューレの挿入口の傷口も6-0ナイロンで縫合します。
手術が全て終了しました。
全身麻酔から覚めて、起き上がっていただきました。
手術直後は強く腫れており、内出血も見られますが、膨らんでいたバストが平らになったのがわかります。
2週間くらいで大きな腫れは引き、内出血も消えていきます。
サクションドレーンは手術日を含めて3日間くらい留置することが多いです。
縫合してある部分の傷跡は全て約1週間後に抜糸します。
傷跡は6ヶ月~1年くらい経過するとだいぶ目立たなくなります。
今回解説した施術の動画一覧
真性女性化乳房の乳腺除去手術の症例写真
- Before
- After(8ヶ月後)
- Before
- After(8ヶ月後)
- Before
- After(8ヶ月後)
担当医からのコメント
高須幹弥 医師
除去した乳腺組織です。しっかりと発達した乳腺がありました。
20代男性の患者様で、女性化乳房が悩みで来院されました。
診察させていただいたところ、確かに男性にしては大きなバストをしており、触診すると乳腺組織が触知しました。
やや太りぎみの体型でもあるため、全身に皮下脂肪がついており、乳腺の周りにも脂肪がついていてさらにバストが大きくなっている状態でした。
乳腺が発達している真性女性化乳房であるため、乳房除去手術を行う必要がありました。
また、皮下脂肪が発達しているため、乳腺除去手術だけを行うと、乳腺を除去した部分だけが不自然に窪んでしまうため、乳腺の周りの脂肪吸引をする必要もありました。
そのため、全身麻酔下に乳腺除去手術+胸の脂肪吸引を行うことになりました。
胸全体を満遍なく脂肪吸引し、乳腺は乳輪下縁を切開して摘出しました。
手術後は男性的な平らな胸になりました。
真性女性化乳房は、乳腺が発達しているため、ダイエットして痩せてもバストの膨らみは残ってしまいます。
手術で乳腺を除去するのが最も確実な方法です。
施術料金
女性化乳房除去
乳腺除去 | ¥440,000~¥660,000(税込) |
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脂肪吸引 | ¥418,000~¥627,000(税込) |
【銀座高須クリニック、横浜、名古屋、大阪】
リスク・副作用・合併症について
女性化乳房除去
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