出べそ(臍ヘルニア)根治手術キャプチャ(写真)解説
~高須幹弥の術式の場合~

この女性患者様の臍ヘルニアの根治手術をします。

この方は妊娠、出産をきっかけに腹壁が広がってしまい、臍ヘルニアになってしまったとのことです。
臍ヘルニアは単なる出べそとは異なり、左右の腹直筋の間にヘルニア門という穴が空いた状態です。
ヘルニア門を通じて腹腔内(お腹の中)とへそが交通しており、腹腔内の腸や内臓脂肪、腹水がへその方まで入ってきて、巨大な出べその状態になります。

へそを指で押すと、出べその中の内容物が腹腔内に戻るため、凹みます。

指を離すとまた出べその状態になります。
これが単なる出べそと臍ヘルニアの鑑別になります。

手術を始めていきます。

手術は局所麻酔で行います。
仰臥位(仰向け)になると、へその中の内容物が重力で下に下がって腹腔内に戻るので、へそが凹んでいます。
術式は、へその皮膚を観音開きにするデザインで行います。

へその皮膚に局所麻酔注射をします。

事前に麻酔クリームを塗ってあり、極細の注射針で注射するので、痛みはわずかです。

皮弁を起こして剥がす範囲に広く麻酔します。

 

局所麻酔注射が終わったら、メスでデザイン通りに皮膚切開します。

 

皮膚切開したら、ハサミで皮弁を剥がして起こします。

このとき、丁寧に皮膚だけを起こすことが大切で、腹壁を破って腹腔内にハサミが入らないようにしなければなりません。

皮弁を剥がし終わりました。

腹直筋の前鞘が見えています。

ヘルニア門から内臓脂肪が出ているのが見えます。

 

ヘルニア門の中にセッシ(ピンセット)を挿入すると奥まで入っていきます。

腹腔内と交通しているのが確認できます。

次に、ヘルニア門を閉鎖するために、腹直筋前鞘を縫合します。

 

腹腔内に針を通さないように針をかけます。

糸は3-0PDS(モノフィラメントの吸収糸)を用います。

緩まないようにしっかりと結びます。

 

しっかりと補強するために計3針縫合します。

 

ヘルニア門の閉鎖が終わりました。

 

指で触って確認しても、完全にヘルニア門が閉じているのがわかります。

 

あとは、皮弁の皮膚同士を縫合して終了になります。

皮膚の縫合は5-0PDS(モノフィラメントの吸収糸)を用います。

皮弁がずれないように、3針程度はアンカリングスーチャーをかけます。

 

手術が全て終了しました。

 

手術が終わり、起き上がっていただきました。

 

起き上がった状態でもヘルニアが突出することはなく、凹んだままのへそです。

 

指で触ってもヘルニア門を触知することはありません。

 

あとは、皮弁がしっかりと張り付いてずれないように、ソフラチュール(抗生剤軟膏ガーゼ)をへその中に詰めて、表面をガーゼで覆います。

ソフラチュールは1週間詰めっぱなしにし、1週間後に除去します。

今回解説した施術の動画一覧

施術料金

へそ形成

単純に出ベソを切除縫縮する場合 ¥165,000(税込)
ヘソヘルニアや複雑な手術になる場合 ¥220,000~¥330,000(税込)

【全院】

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