鼻のL型プロテーゼはお勧めしないこれだけの理由。そのリスクとすでに入っている方の対策法
鼻のシリコンプロテーゼの形には、I型プロテーゼとL型プロテーゼ、バード型プロテーゼといったいくつかの形があります。
しかし、高須クリニックではI型プロテーゼのみを使用しており、L型やバード型は使用しておりません。
なぜL型プロテーゼは使用しないのか、その理由と患者様にとってのリスクをご紹介します。
シリコンプロテーゼのそれぞれの形を解説
I型プロテーゼ
I型プロテーゼはほぼ垂直の形になっていて、鼻根部(鼻の目と目の間辺り)から鼻先の少し上まで入り、鼻先の高さはほとんど変わりません。
L型プロテーゼ
先端がL字型に曲がっており、プロテーゼが鼻根部から鼻先、鼻柱基部(鼻柱の根元)まで入り、鼻根部から鼻先までを全体的に出すことができます。
バード型プロテーゼ
I型とL型の中間のタイプのもので、鼻先まで入り、鼻柱基部までは入りません。
このようにI型とL型、バード型には鼻先の高さが変わるか、変わらないかの違いがあります。
ではなぜ、L型プロテーゼをおすすめしないのか、その理由をご紹介します。
理由1:将来的に鼻先の皮膚が薄くなったりシリコンが露出する可能性がある
L型プロテーゼやバード型プロテーゼは鼻先にもシリコンが入ります。
それによって鼻先の皮膚に負担がかかり、長い年月をかけて鼻先の皮膚が薄くなったり、最悪の場合、鼻先の皮膚を突き破ってシリコンが露出してしまうことがあります。
鼻先は鼻根部などと違って、表情をつくったときに動くところなので、鼻先にシリコンなどの異物が入っていると、異物によって鼻先の皮膚が内側から刺激を受け、皮膚に負担がかかりやすいのです。
理由2:鼻先が固定されて、動かなくなる
本来、鼻は、上半分(眉間~鼻根部~鼻背の途中)は硬い骨でできており、下半分(鼻背の途中~鼻先)は軟らかい軟骨でできています。
そのため、鼻先をつまめば横に動くし、指で鼻先を押し上げればブタ鼻になります。
しかし、L型シリコンプロテーゼは、鼻根部から鼻先、鼻柱基部まで一本のシリコンが入るため、鼻先が固定されてしまい、鼻先をつまんで横に動かしたり、指で押し上げてブタ鼻を作ることができなくなります。
この場合、指でつまんだり、押しても動かないため、美容整形したことが見抜かれやすくなってしまいます。
理由3:L型プロテーゼは不自然な表情になりやすい
上の理由と関連しますが、鼻先が固定されてしまうため、笑ったときに鼻先が上がらなくなり、表情が不自然になります。
理由4:将来的にブタ鼻になる可能性
年月が経つとL型プロテーゼがだんだんと上に上がる傾向があります。
その時鼻先が上に向いてしまい、ブタ鼻になることがあります。
L型プロテーゼは、未熟な医師でも一つの手術で簡単に鼻根部から鼻先まで高くすることができる医師側のメリットが大きい手術です。
その反面、患者様にとっては表情が不自然になったり、鼻先の皮膚に負担がかかる弊害があります。
I型プロテーゼで鼻先を高くする場合は?
当院では、I型プロテーゼを使用しているため、鼻先が固定されて動かなくなることはなくよほど無理して高すぎるプロテーゼを入れない限り、年月が経って弊害が出ることはまずありません。
ただし、シリコンが鼻先まで入ることはないので、I型プロテーゼだけで鼻先を出すことはできません。
その場合、当院では同時にあるいは後日、鼻先の耳介軟骨移植を行うことをお勧めしております。
耳介軟骨移植とは、耳の軟骨の一部を切り取って鼻先に移植して高さを出す手術です。
細かなデザインの調整ができ、見た目も、触り心地もごく自然に仕上がります。
耳介軟骨は、耳の後ろや穴の中から取るものなので、耳の傷は分からないし、自分の組織なので、鼻先の皮膚に負担がかからない上、プロテーゼと繋がっていないため、笑ったときに自然に鼻先が上がり、不自然になることがありません。
耳介軟骨移植のくわしい内容はこちらをご覧ください。
すでにL型シリコンプロテーゼが入っている人はどうしたらよい?
現在、日本の美容外科クリニックの多くはL型プロテーゼは使用せず、安全なI型プロテーゼを使用していますが、一部のクリニックでは使用しているところも見受けられます。
しかし、メールのお問い合わせなどでは、
「他院で鼻にL型シリコンプロテーゼを入れたのですが、ネットで色々調べてみると、L型プロテーゼが上にずれたり、鼻先から飛び出たり、トラブルが多いということを知り、とても不安になりました。私はどうしたらよいのでしょうか?I型プロテーゼに入れ換えるべきなのでしょうか?」
「他院で鼻にL型プロテーゼを入れたのですが、最近鼻先の皮膚が薄くなってきて、鼻先にプロテーゼの先端を硬く触れます。このままおいておくと、どんどん皮膚が薄くなって、プロテーゼが飛び出てしまうのでしょうか?どうしたらよいのでしょうか?」
などとご質問いただきます。
すでに他院でL型プロテーゼを入れてしまった人はどうしたらよいのか、タイプ別にご紹介します。
プロテーゼの先端が硬く触れる場合
なるべく早くプロテーゼを抜くほうが良いです。
そのような人は、元々鼻先の皮膚が薄い上に、その人の鼻に合っていない規格・サイズのプロテーゼが入っているため、鼻先の皮膚に強い負担がかかっている可能性が高いです。
人間の皮膚は加齢と共に薄くなっていき、更に皮膚に負担がかかるため、そのまま放置すると、どんどん鼻先の皮膚は薄くなっていき、最悪の場合、鼻先の皮膚を突き破って、プロテーゼが飛び出ることがあります。
万一飛び出てしまうと、鼻先の皮膚に傷跡と窪みが残って、鼻先が上に上がり、修正不能になってしまいます。
そうなる前に、プロテーゼを抜き、引き続き鼻を高くしたい場合はヒアルロン酸注射をするか、I型プロテーゼを入れるか、I型プロテーゼを入れて耳介軟骨移植もするのが良いです。
鼻先の皮膚が薄くなっていなかったり、プロテーゼの先端を触れない人の場合
元々鼻先の皮膚が厚い人の場合や、サイズの小さいプロテーゼが入っている場合のことが多いため、すぐにプロテーゼが飛び出てしまう可能性は低いです。
ただし、L型プロテーゼである以上、鼻先の皮膚に負担がかかって、皮膚が薄くなったり、飛び出たり、プロテーゼが上に上がって変形したりするリスクは少なからずあります。
時間を置いて、鼻先の皮膚が薄くなってからプロテーゼを抜くと、鼻先が窪んだり、変形が残る可能性があります。
そうなる前に、プロテーゼを抜き、引き続き鼻を高くしたい場合はヒアルロン酸注射をするか、I型プロテーゼを入れるか、I型プロテーゼを入れて耳介軟骨移植もするのが良いです。
しかし、L型プロテーゼを入れて、形も気に入っており、何も異常を感じないのに、再手術をしなければならないのは抵抗を感じる人もいると思います。
そのような場合はしばらく様子をみるのも一つの選択肢ですが、リスクを抱えているのには違いはないので、異常を感じたら、早めに再手術をすべきです。
症例のご紹介
他院で入れたL型プロテーゼをI型プロテーゼに入れ替えて修正した症例写真
Before
After(2ヶ月後)
Before
After(2ヶ月後)
Before
After(2ヶ月後)
平成11年 |
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平成11年 ~平成13年 |
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平成13年 |
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平成17年 |
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平成19年 |
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※施術方法や施術の流れに関しましては、各院・各医師により異なります。予めご了承ください。
※ホームページ上で掲載されている価格は税込表示となっております。
※当院で行う治療行為は保険診療適応外の自由診療になります。
※インバウンドの方の施術料金は通常料金とは異なります。詳しくはお問い合わせ下さい。
当サイトは高須クリニック在籍医師の監修のもとで掲載しております。
担当医からのコメント
⾼須 幹弥 医師
20代女性の患者様で、他院で鼻にLのシリコンプロテーゼを入れていましたが、左に曲がっており、修正目的で来院されました。
高さは変えないで、自然な形にしてほしいという御要望でした。
プロテーゼはかなり細いものが皮下に入っていたため、ぐらぐらしている上に、輪郭が浮き出て、余計に不自然に見えていました。
手術は、プロテーゼを抜くのと同時にI型プロテーゼを骨膜下に真っ直ぐ入れました。
使用したI型プロテーゼは入っていたL型プロテーゼとほぼ同じ高さのもの(約4mm)で、自然に仕上がるように、入っていたものよりやや太めのものを用いました。
術後は真っ直ぐな鼻筋になり、不自然さがなくなりました。
曲がって入っているプロテーゼを抜くのと同時に真っ直ぐに入れ直す手術は難易度が高いですが、私に関しては、患者様が望んだ場合はやることがあります。
鼻のシリコンプロテーゼ抜き(除去)
【銀座高須クリニック、横浜、名古屋、大阪】
隆鼻術(シリコンプロテーゼ)
【全院】
鼻のシリコンプロテーゼ抜き(除去)
隆鼻術(シリコンプロテーゼ)